10.

Neopop

サンチャゴ・ダ・バラ砦、ヴィアナ・ド・カステロ、ポルトガル
8月9日 - 8月12日

アトモスフェリックなテクノであろうが、レイドバックなディスコであろうが、多くのレコードは海沿いだとより素晴らしく聴こえる。この理論は、荘厳なサンチャゴ・ダ・バラ砦を舞台に開催される毎年恒例のフェスティバルNeopopが、ポルトガルで最も愛されるイベントの1つである理由を説明するのに役立つ。ラインナップはテクノが多く、今年はDJ NobuやPaula Templeのような勢いのあるアクトが登場するが、よりハウシーなサウンドももちろん聴くことができ、Ricardo Villalobos、Solomun、KiNKといった面々が出演。潮風に吹かれながらサマータイムレイヴを満喫するのに、Neopopほど格好の場所はないだろう。

RA Pick: サイケデリックなボムを数多く生み出してきたイタリアのベテランテクノアーティスト、Freddy Kに注目。

09.

Flow Festival

スヴィラハティ発電所跡地、ヘルシンキ、フィンランド
8月10日 - 8月12日

過去のレポートからすると、Flow Festivalの“念入りにキュレートされたレストランのセレクション”だけでも、おそらく参加者を毎年引き付けるのに十分な要素になっている。だが、それはこのヘルシンキのイベントが群を抜いて素晴らしい理由の、ほんの1つにすぎない。Bright Balloon 360° Stageのような壮大なヴェニューを擁する巨大な複合施設、スヴィラハティ発電所跡地をホームとするFlow Festivalは、クラッシーなポップミュージックとよりニッチなサウンドの絶妙なブレンドを提示する。今年のヘッドライナーにはKendrick Lamar、Patti Smith、Ms Lauryn Hillらが名を連ねている。また、RAがホストするFront Yardステージには、Zip、Moodymann、Egyptian Lover、Detroit In Effectらが登場。そこに"熱々のハトムギのリゾット"があれば、きっとあなたも笑顔になるはずだ。

RA Pick: 素晴らしく不可解なアーティスト、Fever Rayが登場。

08.

Berlin Atonal

Kraftwerk Berlin、ベルリン、ドイツ
8月22日 - 8月27日

Tresorの上階に存在する巨大なスペースKraftwerkで、電子音楽フェスティバルBerlin Atonal が再始動してから5年が経つ。そのブランドがますますインターナショナルになっていく一方で、同イベントのサウンドと精神は非常に一貫しており、テクノ、インダストリアル、そして超ディープなアンビエントのシナジーが、プログラムの基盤としてとどまっている（ということで、Regis、Surgeon、Samuel KerridgeからなるDownwardsクルーが、2018年再び登場することには何の驚きもない）。その他にも多彩なサウンドが散りばめられており、今年はBeatrice Dillon、Hiro Kone、Lucrecia Daltといったライブアクトや、Veronica Vasicka、Courtesy、Helena HauffらDJ陣が出演する。

RA Pick: Giant Swanはステージの自然力だ。

07.

Sonus

ズーチェビーチ、パグ島、クロアチア
8月19日 - 8月23日

8月半ばの数日間、ズーチェビーチは、ミニマルなダンスミュージックを聴くのに世界最高の場所となる。例年シーンのトップアクトがラインナップされており、今年はRaresh、Nicolas Lutz、Binh、Sonja Moonearといった面々が、トロピカルな内装のビーチクラブKalypsoの、音数の少ないビートに合わせて完ぺきに整えられたサウンドシステムのもとプレイする。より直球な力強いハウスやテクノを欲した時は、ズーチェビーチ各所のクラブへChris Liebing、The Martinez Brothers、Sven Väthらを聴きに行くといいだろう。年間を通してどんちゃん騒ぎのクラウドがビッグなサウンドを求めて集まるズーチェビーチで、Sonusはより洗練された時間をオファーする。

RA Pick: Sonja Moonearのタフなミニマルが、Kalypsoを熱狂の渦に巻き込む。

06.

Mutek Montréal

モントリオール、カナダ
8月22日 - 8月26日

MUTEKは、エレクトロニックミュージックフェスティバルシーンにおける古参の1つだが、2018年になり、彼らは昔からの習慣を振り落とす姿勢を見せている。MUTEKはThe Keychangeと名付けられたキャンペーンに参加しており、クリエイティブ業界における女性の活躍を目指した“刺激的で現実的なコンテンツ”を企画中の2日間のシンポジウムを初開催する。この動きは、今日のエレクトロニックミュージックシーンで活動する女性アーティストの圧倒的な広がりの証明にも繋がる。Charlotte Bendiks、Caterina Barbieri、Machine Woman、RAMZiといった新鋭たちは、それぞれ非常に異なったアプローチを取るが、皆女性だからということには関係なく、2018年最高のエレクトロニックミュージックを魅せてくれるはずだ。

RA Pick: JASSSによる、激しくも美しいライブセットに期待。

05.

Waking Life

クラト、ポルトガル
8月15日 - 8月20日

Waking Lifeは、自らを“時間と空間の境界が無制限”な場所であると説明している。それは非現実的に聞こえるかもしれないが、この先も続いていく何かを築いていくことを決心した若くエネルギーに溢れたチームから成る、フェスティバルのオーガナイザーたちが掲げる、偽りのない目標なのだ。労を惜しまず作り上げられた会場や、リスボンから車で約3時間の場所にある美しい中世の街クラトの近郊にある、その辺鄙なロケーションは、フェスティバルに異世界のような雰囲気を生み出すのに一役買っている。音楽はミニマルテクノやメロディックなハウスが中心だが、今年はDJ Marcelle、Vladimir Ivkovic、Kamaal Williamsなど、独自の路線を行くアクトも登場する。

RA Pick: Donna Leakeのドリーミーなセレクションが、Waking Lifeの輝く湖のほとりでより素晴らしく聴こえるはずだ。

04.

Dimensions

プンタ・クリスト要塞跡地、プーラ、クロアチア
8月29日 - 9月3日

Dimensionsチームと彼らのたゆまぬ努力には敬意を表したい。クロアチアでフェスティバルを始めてから7年目、彼らはとどまることなく進化と成長の道を探り続けている。まるで、築200年の要塞で数日間に渡り数千数万人のレイバーたちをホストすることさえ、十分ではないとでも言うように。2018年の注目は、メイン会場の近くに広がる、第一次世界大戦時代に作られた地下トンネルネットワークZerostrasseだ。Resident Advisorでは、今回この場所で行われるたった2つのイベントをホストし、Volvox、Josh Cheon、Batu、Anastasia Kristensenらをフィーチャー。もちろん、これは全プログラムのうちほんのひとつまみに過ぎず、お堀の中やボートの上、そして築200年のローマ式円形劇場では、Kraftwerk、Nina Kraviz、Nils Frahm、Jlin、DJ Stingrayなど、ありとあらゆるアクトがプレイする。

RA Pick: Ilian Tapeが推す時の男、Skee Maskは必見。

03.

Dekmantel

アムステルダムセ・ボス、アムステルダム、オランダ
8月1日 - 8月6日

今年のDekmantelのラインナップは、過去最高に冒険的？このアムステルダムのフェスティバルが、ハウスとディスコ、テクノにフォーカスしたのは、もう遠い昔のことだ。今年のフェスティバルは、エレクトロニックミュージックにおける様々なタイプのタレントのスモーガスボードのような内容。大勢を引きつけるアクト（Four Tet、Jamie xx、Helena Hauff）、エクスペリメンタルのヒーロー（Yasuaki Shimizu、Tangerine Dream、Laraaji）、カルト的な人気者（Xosar、Tolouse Low Trax、Gesloten Cirkel）、そして勢いのある新鋭（JASSS、Or:la、Dazion）の共演を想像してみてほしい。Dekmantel常連のHuneeとAntalが今年は出演しないことに対して落ち込んでるそこのあなたも、ご心配なく。3週間後にはクロアチアのディスので、Dekmantelが主催するフェスティバルSelectorsがありますよ。

RA Pick: 現在世界各地で引っ張りだこのPowderは、フルタイムで音楽にフォーカスする為、東京での昼間の仕事を辞めたそうだ。

02.

Nachtdigital

オルガニッツ・バンガロー村、カヴェルティッツ、ドイツ
8月3日 - 8月8日

1年間のどの時期に見ても、ドイツのフェスティバルNachtdigitalの会場は、完ぺきなほど平凡だ。湖に、バンガローの群れ、そして、ここがヨーロッパのベストフェスティバルの1つのメイン・ダンスフロアになろうとは誰も想像だにしないであろう砂地。だが、8月の最初の週末、このライプツィヒとドレスデンの中間に広がる片田舎の土地は、そこだけで1つの世界となり、Nachtdigitalの200人前後のボランティアスタッフの手によって、レイバーたちのサマーキャンプのような場所となる。昨年の20周年記念回に続き、この皆に愛されるDIYパーティーは、これまでと変わらない独自の大胆なスピリットを持って20年代に突入。rRoxymoreやBeatrice Dillon、Demdike Stareのようなアドベンチャラスなアーティストを、ザクセン州の木漏れ日が降り注ぐスポットに迎える。

RA Pick: Ben UFOがアンビエントセットの為だけにオルガニッツまでやって来るということは、何かスペシャルなものを準備してくるに違いない。

01.

Houghton

ホートン・ホール、キングズ・リン、イギリス
8月9日 - 8月12日

時折、1つのフェスティバルが出現し、シーンに衝撃を与えることがある。もちろん、Houghtonは前情報だけで既に素晴らしかった。森の中にあるカントリーハウスで、Craig Richardsが4日間に渡り音楽をキュレートするというのだから。だが、開催後あれほど褒めちぎったレポートが伝えられようとは、誰も予想していなかったかもしれない。Stephen Titmusはイベントレビューの中で、同フェスティバルは素晴らしい音楽、息をのむほど美しい環境、そして届きにくい携帯の電波のコンビネーションによって実現された、“非現実的なレイヴユートピア”だと讃えた。2018年、RichardsとHoughtonの制作を手がけるGottwood Festivalの運営チームは、成功の方程式から逸脱しすぎることなく、初年度の内容を増強するようだ。Ricardo Villalobos、Andrew Weatherall、Sonja Moonear、Magda、Margaret Dygas、Nicolas Lutzなど昨年から引き続き出演するアクトも多いが、Jane FitzやZip、Objektが新たにラインナップ。また2017年同様、Richards自身は複数のセットをプレイする予定だ。「出演者全員に輝くチャンスが与えられる」と、彼は語っている。「そして参加者全員に、あらゆる最高のものが施される。」

RA Pick: ここで我々がCraig RichardsとRicardo Villalobosのバックトゥバックを選ばなかったら、それは嘘になるだろう。

8月に開催されるフェスティバルの全リストはこちらからチェック。